Chatbot

【セミナーレポート】ベトナムオフショアで開発する、人工知能システム ~増加する、チャットボット(ChatBot)導入事例~

2017年4月24日(月)に開催されたセミナー『ベトナムオフショアで開発する、人工知能システム ~増加する、チャットボット(ChatBot)導入事例~』について紹介します。

目次

セミナー概要説明
NALグループ(日本法人構成)紹介
NAL紹介
・NALについて
・NALの実績
ベトナムのAI関連状況紹介
・ベトナムでもAIはホットテーマ
・オフショア企業のAI対応
・大学でのAI教育
・AI留学生
・AI人材
ベトナムでのAI開発事例
・自動運転技術
NALのAIに対する取り組み
・AI研究チーム
・AI研究拠点「フェイ」
NALのAI開発実績
・チャットボットソリューション
・電気使用量データ予測
・その他の実績
ディスカッション(チャットボット関連)
・チャットボットの開発手法(アーキテクチャ)
・「Watson」の有用性
・チャットボットの自動学習による精度向上
・問い合わせが解決したのかの判断
・チャットボットから人間の担当へ回す場合
ディスカッション(ベトナムオフショア関連)
・ベトナムオフショアのメリット
・ベトナム国内のITマーケット状況
・ベトナムのIT戦略(エンジニア数増大)
・ベトナムのIT戦略(日本語戦略)
ディスカッション(NAL関連)
・日本側発注企業と受注側NALの役割分担
・チャットボット開発案件の進め方
・日本語の文法/言い回しへの対応
・ベトナム開発メンバーの出身大学傾向
・コミュニケーター問題
・NALの日本語力
・NALの勉強会
・日本とベトナム間の打ち合わせ方法
・セキュリティ対策
・品質管理
※講演資料

セミナー概要説明

寺田:

本日の司会進行の寺田です。よろしくお願いします。

月に1回のペースで「ベトナムオフショア勉強会」という形でミニセミナーを開催しています。

今までの開催回では「ベトナムオフショアの品質について不安がある」という方は非常に多い傾向にありました。しかし、おかげさまで、ベトナムオフショアも、だいぶ認知されてきて、取り組むお客様も増えてきています。

本日は、「ベトナム(NAL)のAI開発事例」などについて紹介した後、ディスカッションに進みます。

NALグループ(日本法人構成)紹介

寺田:

「NAL」は、ベトナムでオフショア開発事業を展開している企業グループです。

「NAL Japan」は、これからプレゼンを行うアンが代表を務めるNALの日本法人です。

「NAL Human Resources」は、日本企業がNALと契約する際の契約窓口や営業を担当しています。私(寺田)が代表を努めています。

他にも複数のグループ法人があります。

NAL紹介

アン:

「NAL Japan」の代表をしておりますアンです。よろしくお願いします。

まず、NALについて簡単に紹介します。

NALについて

・4年前にベトナムで設立
・メイン事業はベトナムでのオフショア開発(取引先は、ほとんどが日本企業)
・ベトナムでは成長企業として知られている(2016年にベトナムで「IT企業トップ50社」を受賞)
・グループトータルで150名規模
・3つの拠点でサービスを展開 (ベトナム)ハノイ+(ベトナム)ダナン+(日本)東京

NALの実績

・4年間で50社ほど
・トータルでは170プロジェクト以上成功させている
・Webサービス関連の実績が一番多い
・他に「業務システム開発」「スマートフォンアプリ開発」など
・最近では「クラウド」「IoT」「AI」関連案件が徐々に増えてきている

ベトナムのAI関連状況紹介

ベトナムでもAIはホットテーマ

ベトナムでも、AI関連テーマは盛り上がってきています。

大学+研究機関+企業による連携の動きがあります。IBMによる連携事例もあります。

「全国規模でのAIコンテスト」「技術習得」「勉強会」などが行われるようになっています。

オフショア企業のAI対応

日本向けオフショア企業でも、AIに対応できる企業が徐々に出てきています。日本企業がベトナムにAI研究拠点を設立するなどの事例もあります。

大学でのAI教育

大きな大学では人工知能学科などが新設され、最近登場してきているオンライン系大学もAI教育をPRしています。

AI留学生

海外(日本、欧米など)に留学して、AIを勉強した人達も相当数いて、ベトナムに戻ってきて、大学で教えたり、研究機関や企業で活躍しています。

AI人材

ベトナムでも人材獲得競争が起きています。能力のあるエンジニアは、高い給料でスカウトされています。

ベトナムでのAI開発事例

私が把握している範囲で、ベトナム企業が対応可能なAIの範囲です。
・画像認識(顔認識)
・自然言語処理
・OCR
・チャットボット
・セキュリティリスク予測
・KPI予測
・自動運転

自動運転技術

ベトナムの大手IT企業が自動運転ソリューションを発表しています。2017年10月に自動運転車を走らせる試運転が予定されています。

自動運転技術に関わっているベトナムの技術者は1000人以上いて、欧米の自動車会社と提携して研究開発をしています。

2020年までに8000人規模まで拡大する政策が打ち出されています。

NALのAIに対する取り組み

AI研究チーム

1年ほど前から、社内でAI研究チームを構築しています。

「ハノイの大学」+「ダナンの大学」+「AI専門パートナー企業」などと提携して、AI関連技術習得や研究開発を行っています。

AI研究拠点「フェイ」

ベトナム中部の観光地「フェイ」というところにAI研究拠点を作っています。すべてのAI関連の案件は、この拠点を中心に研究/開発を進めていく予定です。

NALのAI開発実績

すでにいくつかの開発実績があります。

チャットボットソリューション

LINEを利用するチャットボットです。

AIエンジンを駆使して、データベースからデータを取得して解析し、ユーザーごとの知りたい内容によって適切な情報を返すソリューションです。

電気使用量データ予測

IIJさんのスマートメーターを活かしたAI+IoTソリューションです。

スマートメーターからの電気使用量情報を分析して、将来の電気使用量を予測します。

さらに「生活パターンデータ」や「季節変動データ」も取り込み、さらなる精度向上を目指しています。

その他の実績

・OCR(紙媒体の文字読み取り) 名刺読み取り、手書き文字読み取りなど
・チャットボット(日本企業案件)
・電気料金予測
・画像解析(顔認識)

ディスカッション(チャットボット関連)

チャットボットの開発手法(アーキテクチャ)

質問者:

チャットボットの技術面について「開発手法」や「人工知能ならではの新しい技術要素」などについて教えてください。

アン:2つの開発スタイル

チャットボットは、2つの開発スタイルがあります。

1つ目は、すでにある自然言語処理エンジン(Watsonなど)を活用するスタイルです。

2つ目は、ディープラーニングライブラリを利用して開発するスタイルです。

寺田:処理工程
工程1「メッセージ取得」

まず「メッセージ取得」で文章のインプットを行います。

工程2「メッセージ解析」

次に「メッセージ解析」を行います。日本語の文章にタグ付けを行い、構造的な意味として解釈する工程です。

「メッセージ解析」にディープラーニング技術を使用します。Watsonを利用する場合なら、用意されているAPIをコールします。独自に作成する場合は、「TensorFlow」のようなライブラリを使用して言語解析を行います。

工程3「回答出力」

「○○サービスについて知りたい」という要求を意味的に把握できた後は、「○○サービスについての説明を回答する」というロジックの処理になります。

Watsonを利用する場合なら、この部分もサービスとして提供されます。

ディープラーニングは日本語解釈部分のみ

ディープラーニング技術を使用するのは、あくまでも、日本語を解釈する部分のみです。解釈後の、FAQデータベースと突き合わせて回答する部分は、ロジックでの処理になります。

「Watson」の有用性

質問者:

Watsonを利用すれば、簡単に開発が行えるということですか?

寺田:

Watsonを利用すると、前述した工程3の部分まで、フレームワークとして提供されているため、ロジックを組まずに利用できます。非常に簡単に構築できます。

ただし、Watsonはトランザクション課金であるため、コストとの見合いになります。トランザクションが少ないようであれば、有力な選択肢になりえます。

チャットボットの自動学習による精度向上

質問者:

Watsonなどを利用しない自作チャットボットでも、自動学習によって精度向上させることはできますか?

アン:

自動学習による回答精度向上は可能です。

ただし、チャットボットが質問を受けて回答を出した後に、「回答内容は正しい内容だったのか?」についてフィードバックを行う仕組みなどが必要です。

問い合わせが解決したのかの判断

質問者:

チャットボットでの問い合わせの場合、「問い合わせが本当に解決したのか?解決しなかったのか?」という判断は難しいと思いますが、どのように行われますか?

アン:

この点は非常に難しい部分です。

お客様もこの問題は難しいということが分かっていただけているので、「70%クリアしてくれればいい」という程度で許していただいているような状況です。

今後の改善課題でもあります。

チャットボットから人間の担当へ回す場合

質問者:

適切な回答が得られない場合、最終的に、人間にバトンタッチしたい場合は、どのように行いますか?

アン:

適切な回答を出せなかった場合には、「こちらに問い合わせしてください」などのメッセージを出して、コールセンターなどへ回すことは可能です。この部分まで運用として考えて設計する必要があります。

ディスカッション(ベトナムオフショア関連)

ベトナムオフショアのメリット

質問者:

中国の人件費高騰による相対的なベトナムのコストメリット以外の部分で、ベトナムオフショアのメリットはありますか?

アン:

対中国ということでは、「やることは責任を持ってやる」という国民性が特徴であると思います。日本人ほどではありませんが期待できると思っています。

それと、新しい分野へのチャレンジスピリットもあるのではないかと思います。

ベトナム国内のITマーケット状況

質問者:

ベトナム国内のITマーケット状況はどのような感じですか?

アン:

徐々にスタートアップ系で成功する会社が出てきていますが、まだ、これからの段階だと思います。

あと2〜3年で、良いマーケットになるのではないかと思っています。

寺田:

現時点では、ベトナム国内のITマーケットは、ほとんどありません。

ベトナム国内にエンジニアはたくさんいますが、ほとんどが、日本や欧米のオフショアを行っています。

スマートフォンについては、ほぼ100%の普及率です。

ベトナムのIT戦略(エンジニア数増大)

寺田:

ベトナムは国としてITに非常に力を入れています。

ベトナム国内のエンジニア数は40〜50万人程度いると思います。年間5万人くらい増えています。東南アジアでは断トツ1位のボリュームです。

日本が100万人程度なので、どんどん近づいてきている状況です。

ベトナムのIT戦略(日本語戦略)

寺田:

ベトナムでは、第1外国語が日本語になっています。非常に日本のほうを向いてくれている国です。

アン:

ベトナム政府の計画として、2020年までに、日本語ができるエンジニアを1万人養成する政策も出しています。

ディスカッション(NAL関連)

日本側発注企業と受注側NALの役割分担

質問者:

「NALさんと問い合わせシステムを作りたい」となった場合、日本側発注企業(SIer)と受注側NALさんで、どのような役割分担をしながら進めていくのでしょうか?

アン:

開発部分は任せていただけます。

要件定義などの上流設計部分については、NALとお客様で行わせていただくイメージです。

寺田:

NALの場合、コミュニケーションはすべて日本語で行えます。必ず日本語が分かるメンバーがチームに付いて、コミュニケーションを行います。さまざまなご用件やマネージメント指示などは、すべて日本語で対応できます。

要件定義のところから一緒に参加させていただくとよいと思います。例えば、ハノイは地下鉄がないなど、日本にあってベトナムにないものは、まだ結構あります。文化的背景が異なる部分もあるので、システム背景やバックグラウンドなどについてイメージを共有化していくことで、高品質なプロダクトの納品につながります。

チャットボット開発案件の進め方

質問者:

実際にチャットボット開発を行う場合、具体的にどのように進めていくのか教えてください。

寺田:FAQデータ分析

チャットボット開発案件の場合、多くは、すでにコールセンターがあって、FAQデータなどが蓄積されているパターンが多くあります。

まずは、そのデータをNDA(秘密保持契約)を結ばせていただいて、お預かりします。NAL側で、そのデータを分析して、どのようなシステムを作るのかについて、ご提案いたします。

アン:業務フロー整理

まず、業務フローを教えていただいて、業務の整理を行います。開発するシステムは「誰のために」「どのようなユーザーが使って」「どのような機能が必要なのか」について精査を行います。まとめた資料をお客様にレビューしていただき、イメージを共有して、進めていきます。

寺田:スモールスタート推奨

チャットボットは、まだ新しい分野であるため、いろいろな要件が追加される可能性が非常に高いと思います。

そのため、最初は、一番重要なコアな部分だけ、少ない予算で作らせていただく「スモールスタート」をおすすめしています。

その後のアジャイル開発で拡張していく形が、双方のリスクを少なく進めることができるスタイルであると思います。

日本語の文法/言い回しへの対応

質問者:

日本語の独特な文法や言い回しに苦労することはありますか?

寺田:

NALJapanには日本人もいるため、日本語独特の部分についても対応できるようになっています。

ベトナム開発メンバーの出身大学傾向

質問者:

ベトナムの開発チームの方は、どのような人材の方ですか?

アン:

開発チームは、国家大学、工科大学、FPT大学など、ITが強い大学のメンバーがほとんどです。留学から帰ってきたメンバーも多数います。

コミュニケーター問題

質問者:

以前、ベトナムオフショアをやった時に「コミュニケーター」で苦労したことがあります。現在は解消されているのでしょうか?

アン:

弊社では、コミュニケーターではなく、日本語ができるエンジニアを導入しています。正直、コミュニケーターではコミュニケーションが追いつきません。

「ITのバックグラウンド」に加えて、「日本語」もしくは「日本のバックグラウンド」を持っているメンバーを中心にしてプロジェクトを進めます。

NALの日本語力

質問者:

NALグループは150人程度のエンジニア数という話がありましたが、どのくらいの方が日本語を使えるのでしょうか?

アン:

ビジネスコミュニケーションできるレベルが2割程度います。これは弊社の強みの1つで、他社に対して圧倒的なアドバーンテージになっています。

寺田:

それ以外のメンバーでも、日本語の日常会話ができる程度のメンバーはたくさんいます。

NALの勉強会

寺田:

NALでは、基本的に残業は行いません。17:30に終業です。

そして、18:00から、2時間程度、日本語やIT技術に関する勉強の時間があります。大変熱心に行われています。

アン:

弊社では、日本語のクラスは、会社でサポートして、無料で参加できます。

また、ワークショップのような形で、外部の専門の人が来て、交流するようなイベントも行っています。

弊社の主要テーマの1つは「成長」です。案件パフォーマンスの他に、個人個人、経営者も含めて、成長しなければいけません。

日本とベトナム間の打ち合わせ方法

質問者:

プロジェクトの中で、日本とベトナムの現地で、打ち合わせを行う必要があると思いますが、どのような感じでやっていますか?

アン:

週1ペースや、プロジェクトによっては毎日、テレビ会議を行って、状況や進捗を共有したり、仕様を説明していただいたりしています。

その他は、ChatWorkのような、チャットコミュニケーションで、細かくやり取りしています。

使用するツールについては、お客様のご要望に合わせます。

セキュリティ対策

寺田:

セキュリティについても、日本側の要求に対応できます。

「プロジェクト専用の個室」「指紋認証での入室管理」「独立ネットワーク構築」など、追加費用がかかる場合もありますが、対応可能です。

アン:

ID管理は、LDAPでの一元管理を行っています。

品質管理

質問者:

やはりどうしても気になってしまうのですが、品質管理について、どのような取り組みをされていますか?

アン:

各種品質管理を行い、品質を担保しています。
・品質責任者の配置
・工程ごとのレビュー
・ソースコード管理(Git、GitLab、GitHub、Bitbucket)
・ソースコードレビュー
・テストケース作成→テスト実施→結果レビュー
・テスト自動化ツール(Jenkins)
・納品時チェックリスト(社内標準を案件ごとにカスタマイズ) など

※講演資料

本セミナーの講演資料は、こちらからダウンロードできます。

→マジセミ →ベトナムオフショアで開発する、人工知能システム ~増加する、チャットボット (ChatBot)導入事例~

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